板沢地区|諏訪盆地の集落と地盤

<絵図と地形>

 図左端(東)に峠(隣接北真志野図幅に板沢峠と表記)を描き、峠より右(西方)に大道通がこいどう口(図右端)に達する。図右側は伊那境となりすぞう峠が記される。図上側(南)には青木沢へ通じる峠が記される。大道通りを挟み集落と耕地が分布する。山神上に畑、青木沢の出合付近から下方に家屋と田畑が表記される。
 諏訪盆地西壁山体が、図左の板沢峠から図右の西方に緩く傾く。その傾動地塊の背斜面に刻まれた谷幅のやや広い開析谷に沿い集落が展開する。
 峠道は、大道通り・こいどう口を経て伊那境に通じる。
 集落の上手に湧水があり山神が祀られている。
 家数5軒が図絵に描かれるが、石高等の記載は無い。
 北真志野村と峠を越え強く結びつき、伊那に通じている。

板沢新田  家数 五軒
      御城より三里弐拾五町三間弐尺

 断層崖頂部から伊那谷に向け緩く勾配する地塊の背斜面に刻まれた谷幅が広目の開析谷に沿い発達する集落である。
 絵図に描かれる山稜頂部の針葉樹は、安山岩溶岩に載る赤松と思われる。その基部から微細な地下水が湧出し谷壁斜面を伝い谷底に集まっている。山ノ神より下流で湧水が次第に集まり、集落から下流部に田(水田)が営まれている。
 西向きの緩やかな谷底に設けられる水田の畦畔には、現在は福寿草が植栽され名所となっている。

<地質>

 第四紀塩嶺累層が厚く広く覆っている。
 安山岩溶岩を狭在し、これに伴い地下水が湧出している。
 集落上部の山神付近で実施した地質調査ボーリングのデータを掲げる。

〔No.1地点〕
 集落上方の山神地点の調査データである。
 谷壁斜面の各所から浸出する地下水が集まり、この山神付近の谷底に湧出している。
 谷底には、GL-5.90mまで礫まじりシルト・礫混じり粘性土・転石・礫質シルト・シルト質砂礫の軟い~緩い土層が堆積し、下位の基盤岩に接している。この堆積土層が下方集落の耕地を成立させていると思われる。
 基盤岩は、地下水を伴いGL-25m以深に連続すると推定されている。