後山地区・椚平|諏訪盆地の集落と地盤

<絵図と地形>

見開き図の左に後山新田、右に椚平新田を描く連続図となっている。

図幅左に、守矢山・大熊峠・南真志野峠・北真志野峠と有賀峠が並び、各峠から後山新田へ下る道路が記される。家屋が集中する集落部に「後山新田家十九軒」と記し、田・畑が表示される。守矢(守屋山)からの今川と大熊峠・南真志野峠からの沢が合わさり集落内を流下し椚平新田に達する。

集落内の道路には、一ノ渡度・二ノ渡度・三ノ渡度とこれより下流に4橋が架かる。最下流部に椚平の家三軒と記され家屋と山神が描かれる。

沢川谷中に後山新田と椚平新田を描き、左岸稜線に守矢山と守矢つくね、右岸稜線部に有賀峠と大山つくねを描いている。

 

 〔家数・石高〕

  後山新田  家数 拾九軒

        御城より三里三拾五町三拾四間弐尺 

        元高 六拾壱石九斗弐升八合

        高  四拾四石壱斗九升壱合壱勺

        物成 六石八斗九升三合八勺弐才

        内 五石壱斗弐升六合壱勺八才 大豆

  

  椚平新田  家数 三軒

        御城より四里三拾三町拾六間弐尺 櫧平新田ト有

        高  拾石九斗弐升八合七勺

        物成 壱石壱斗三升五勺壱才

        内 六斗五升壱合四勺六才 大豆

 

  諏訪盆地西壁山体が断層崖を成し西山山地の傾動地塊が緩く傾斜し天竜川谷に達する。

  盆地側急斜面の頂部に、守屋山と大熊峠・南真志野峠・北真志野峠・有賀峠が置かれている。

  集落は、西に緩く傾く背斜面を侵食する沢川の谷地形に沿い形成されている。

 

<地質>

  峠から集落手前までの丘陵部には第三紀塩嶺累層の凝灰角礫岩が分布し、守屋山一帯から沢川に沿い守屋累層が分布する。

  旧後山分校背後の山地から流出する細沢川に於ける地質調査データを添付する。細沢川は、平成21年の集中豪雨により土石流を発生し多大な被害を生じ、その後砂防えん堤等の対策工が施されている。

〔ボーリング柱状図〕

細沢の谷口に設けられた砂防えん堤建設時のボーリングデータである。

 <細沢川右岸台地面地点>

 細沢川右岸の台地上部。薄いシルト・粘土の表土下に旧土石流堆積土層(粘性土混じり砂礫)が約10m堆積している。地山基盤を成す風化砂泥岩と泥岩が下位に連続する。

<細沢川谷底地点>

   細沢川の谷底地点。薄い河床砂礫の下に地山基盤岩を成す風化砂泥岩、基盤岩となる泥岩が直ちに現われる。基盤岩は堅固である。

<細沢川谷壁斜面地点>

   細沢左岸谷壁斜面地点。やや厚目の表土下に薄い旧土石流堆積土層である粘性土混じり砂礫層を挟み下位の地山基盤岩(風化砂泥岩)に接する。

 このNo.1~No.3の断面では、基盤岩が左岸に高く右岸に低い。右岸台地には、分校背後の山地に生じた古い土石流土層が厚く堆積していると考えられる。

 えん堤は安定した基盤岩上に建設された。