神宮寺地区|諏訪盆地の集落と地盤

<絵図と地形>

 諏訪盆地西壁山体(西山)のうち茅野市境の西沢から大熊境の権現沢までの範囲を描く。

 図中央に神宮寺・諏訪大社上社が詳細に描かれ、図下側に平坦部を流下する河川・集落、図上側に上社背後の山体が守屋山まで描かれる。

 神宮寺へ連なる道路が西沢川の橋を渡り、矢崎宮内・守矢采女・石井清水前を通り女沢の橋に達する。大鳥居を抜け滝沢までの間の山側に神宮寺の施設が配置する。

 

 南側から順に記す。

 正八幡・長坂主計・神宮寺・大師堂・舞台・二王門・普賢堂・鐘楼・観音・二王門・シャカ堂・法花寺

 

 関連施設

 正蔵坊・執行坊・蓮乗坊・宝蔵坊・神洞院・善勝坊・松林坊・泉蔵坊・花岡市之進

 

 最奥部高遠山界に

 守矢大神、へびかを年・細尾沢・大日影・小日影・権現昼食ば・御腰掛石・南まつぼ・一ノ久保・エボシ形・山伏岩・漆物師か釜・天駒社・恵比子社・大祝林院・城山・片山・丁子力平・治部神・山神・鳩か峯・牛首・神輿坂・墨石・女久保・幕岩平・畳石

 

 滝沢の先の大鳥居から上社境内に入り蓮池院までの間に

 南から

奉納処・二ノ御柱・十六善神・十三所・籠処・高神子ヤ・駒形・材木処・作事ヤ・神子ヤ・神楽ヤ・天流ヵ・御座石・ゴマドウ・沓石・蓮池院・拝殿・宝殿・青陵池一ノ御柱・四ノ御柱・祈祷処・御供処・不明門・薬師・出早社・三ノ御柱

 が記される。

 

 神宮寺・上社の手前に平坦部の低平な地形が連なる。山体から石井清水湧水・女沢・滝沢(男沢)が流出し恵川となり大熊村に流下する。西沢川が宮川に合わさる。用水汐(田辺用水)が藤島を経て田部村に流下する。藤嶋社一帯に広大な耕地が広がる。西沢を合わせた宮川が上金子から中金子方面へ流下する。宮川と用水汐に挟まれた微高地に、諏訪大祝・松木湛・千体佛が記される。

 

 〔家数・石高〕

   家数 百弐拾軒

    御城より壱里三拾四町五拾弐間五尺 上宮拝殿迄󠄀

   元高 八百弐石四斗壱升五合

    高  九百八拾八石四斗五升九合四勺

       物成 六百三拾七石三斗四升六合八勺五才

       内 六斗八升壱合四勺 山役米

   西山山体から権現沢・滝沢(男沢)・女沢・西沢が流出し、扇状地を形成する。

   男沢の谷口に形成された扇状地の左扇部に諏訪大社上社が立地し、右扇部に神宮寺が展開する。

  

 〔ボーリング柱状図〕

 ここでは、上社境内で実施された参集殿・宝物殿敷地地盤調査と北参道鳥居脇トイレ浄化槽設置工事に伴う地質調査の結果を示す。

 

  <参集殿・宝物殿敷地地点>

 参集殿・宝物殿の調査は、昭和59年7月に実施された。社叢を背後にする敷地は、社務所敷地より一段高く、一帯に冷気が漂い暑さを全く感じさせなかった。調査を進めると、地下水位が高く豊富である事が分った。

 地形的には、男沢の扇状地と西山断層崖基部の崖錐斜面が重なった部位に相当し、男沢からの伏流水が湧出している。

 土質は、地表面から礫混りローム質粘土層が現われる。

 GL-2m以深は締り、N≧30の土層が連続する。

<上社北参道鳥居脇地点>

 上社境内と平坦部を境とする旧西街道(現市道)に北参道の鳥居が設けられ、神社庁により鳥居脇に公衆トイレが設置された際の調査である。

 GL~-1.45m 礫交りシルト

  ~-11.55m 高有機質シルト

  ~-12.60m 粘性土混り砂礫

  ~-20.20m 凝灰岩砂礫

  地表面下約10mの腐植土層を確認した。