高部地区|諏訪盆地の集落と地盤

<絵図と地形>

 図幅は、図左下から流下する宮川とこれに流入する下馬沢川、神宮寺村境を成す西沢川が合流する手前までを下辺の右隅に描き、下馬沢を遡り西山頂部の御贄坂・峠(御分杭)までと小町屋村境までを描く。山麓を通過する道路より下から宮川までの間は、平坦部の低平地で大明神御馬場・ごくつぶし田・相元明神・ごくつぶしの沼沢地(下場沢)が記される。扇状地上には家屋・弥施堂・擬祝が記される。小町屋側の道上に神代畠道畑が記され、下馬沢川谷の山ノ神より下流に扇状地が広がり神長官・〇枝畠道畑と峠への道路(高遠道)が記され、この峠道の右手に山ノ神と支川の沢筋、磯并明神・小袋石の地名が記される。

 

 〔家数・石高〕

   家数 四拾六軒

   御城より壱里三拾五町三間五尺 宿中迄󠄀

 

<地質>

 杖突峠から下場沢川に流下する。

 下馬沢川は、西南日本を分ける中央構造線の延上に発達し、第三紀守屋累層に塩嶺累層が接する。

 山頂の峠一帯には、断層を示す三日月状の凹地や地表変動を示す滑落地形が点在する。

 ここでは、下馬沢谷口右岸の谷壁斜面に建設された前宮公園の調査データと下馬沢扇状地とその周辺のデータを示す。

 

〔ボーリング柱状図〕

 <下馬沢川谷口右岸谷壁斜面・前宮公園地点>

 下馬沢川谷口右岸の谷壁斜面に建設された前宮公園の地盤調査データである。

 地表面の表土下に礫混りロームが現れ、以深の地山凝灰角礫岩に接する。

 GL~-0.50m 表土

  ~-4.70m 礫混りローム

  ~-8.45m 凝灰角礫岩

<主要地方道岡谷茅野線下馬沢川橋地点>

 県道下馬沢川橋右岸の地質データである。

 下馬沢川谷に生じた土石流と河床砂礫が深度30mまで連続する。

 上部GL-7.75mまでの土層の構成は、シルト・シルト混じり玉石砂礫・砂礫・粘性土質礫・粘性土混じり砂礫・礫質粘性土となる。

  GL-7.75m以深GL-13.60mまで粘性土混じり玉石砂礫が現われ、N≧50を記録する。

  以深GL-16.95mまで粘性土質砂礫・シルト質礫を挟み、再びN≧50の粘性土混じり砂礫・砂礫・安山岩転石・粘性土混じり砂礫・玉石砂礫・粘性土質砂礫・玉石砂礫の土層に移行する。

  下馬沢川の谷中堆積土層は厚く、GL-30mの調査では山体の基盤岩土層は現われない。

<下馬沢川谷口右岸低地地点>

 県道下馬沢川橋から約100m前宮方向に進んだ道下の会社敷地地点のボーリングデータである。孔口標高は、下馬沢川橋776.70mに対しこの地点は約770mとなり約7m低い。

 GL~-1.95m 埋土

    ~-3.20m ローム(N=2)

    ~-10.45m 強風化凝灰角礫岩(N=4~10)

<下馬沢川扇状地・ばんば池低湿地地点>

 下馬沢川扇状地と宮川の自然堤防に挟まれた姫宮低地の“ばんば池”(絵図にごくつぶしと記される低湿地)内の地質調査データである。

  GL~-5.85mまでの礫まじりシルト・シルトまじり礫・有機質シルト・腐植土層は、姫宮低地に生じた低湿性軟弱土層と考えられる。

  GL-5.85m以深には、この低湿地が成立する前に堆積した砂・砂礫・玉石砂礫・玉石まじり砂礫・粘性土まじり玉石砂礫の粗粒土層が分布する。